美鹿の神明杉

スギ科/スギ

山の斜面にある多度町美鹿地区の最も奥の高い位置には、大杉神社がある。この神社には昭和18年4月22日三重県指定天然記念物「美鹿の神明杉」といわれる神木のスギがある。このスギは幹周囲745cm、樹高32.5m。地上2.5mのところで二又。拝殿左脇にあり、竹の「すのこ」で幹は保護されている。

天然記念物名では神明杉というが、この神社の主祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)であり、天照大神を祭る神社は神明社というので、この名がついたのであろう。神社境内には古いスギが多い。このことから神社名も大杉神社であるが、昔の神社名も「大杉神明宮」でスギにこだわっているが、古くから境内にはスギが多かったのであろう。

桑名市教育委員会が最近設置した「美鹿の神明杉」の現地の説明版によると、推定樹齢860年とある。このスギは1本の木が二又になったのでなく、恐らく2本の木が癒合したと思われるので、樹齢はこれより若いものと思う。この木には「すのこ」が巻かれ、樹皮が保護されている。伊勢神宮の場合は、神木の杉皮を、部屋に吊るしたり、煎じて飲むと悪病が癒るという風評から、参拝者に杉皮を剥ぎ取られるのを防ぐのだという。この神明杉にもそういう威力があると、信じられたのかも知れない。