成福寺のイスノキ

マンサク科/イスノキ

天台真盛宗・成福寺の前に雲出川が流れる。これより約1kmあまり上流には「笠着地蔵」の巨岩がある。真盛上人(しんせいしょうにん)が宝珠丸(ほうじゅまる)といった子供の頃、川に投げ込まれ笠に乗って漂着したところ。

天台真盛宗の開祖「真盛上人」は、この「笠着地蔵」の近くの誕生寺が誕生の地であるが、この下流の成福寺には真盛上人慈父母菩提所があり、真盛上人の五輪塔、真盛上人の石碑、叔母の盛善比丘尼(せいぜんびくに)の石碑がある。

この三つの碑の真後ろには、半分石垣に埋まった大きなイスノキがある。その大きさは地上50cmの幹周囲が332cm、樹高10.5m。地上1m付近より5株立ち。多くの枝で枯れが目立ち弱っている。そのせいかフシアブラムシ類の虫こぶは少ない。地元では真盛上人が亡くなった頃にこの碑が造られ、イスノキも植えられたので、樹齢は500年としている。当時大変珍しい木であったので、入手には有力者がからんでいると思う。地元の人は、このイスノキをヒョンノキとかヒョウノキと呼ぶ。

この寺の前の川には江戸時代、「大仰の渡し」があったが、そこに「撫ぜ地蔵」があって人々はこの地蔵を撫で渡川の安全をねがった。この「撫ぜ地蔵」は、この寺のイスノキの下に移っている。