青田の大カシ

ブナ科/アカガシ

かつて、青田地区には小学校と中学校分校があったほど、人が住んでいた。しかし、蓮(はちす))ダムの建設にあわせて廃村になった。この青田地区でも最奥の字小井戸の山腹には4軒ほどが寄り添うように生活していた。奈良県境には6km。北畠氏にまつわる青田城跡も近くにあった。

この一軒の平野家の裏山には、県内一の太さのアカガシがあり、幹周囲733cm、樹高23m、南北の枝張りは27m。カシの仲間では格段に大きい。

ちなみに県内2位の太さのカシは、私の調査では伊賀市坂下(さかげ)の酒解(さかとけ)神社のアカガシで、幹周囲は580cm。平野家の裏山の木は何度も炭焼き用に伐採されたが、この一本の巨木は山腹の強風から家をまもる木として、代々大切にされて残された。巨大になって神秘的になったこの木は、晩鳥(ばんどり=ムササビ)の棲んだが、今はアオゲラが棲む。

私は平成7年、(社)三重県緑化推進協会機関紙「緑の森」で紹介した時は「加杖坂のアカガシ」として記載した。その後の『みえの樹木百選』でも「加杖坂のアカガシ」。しかし、平成9年に飯高町指定天然記念物になった時の名称は「青田の大カシ」である。