新開の臥龍梅

バラ科/ウメ

新開臥龍梅公園には臥龍タイプの梅は5本あり、枝張り約4m。昭和46年8月1日に当時の御園村の天然記念物。菅原道真ゆかりの梅を、伊勢の地に奉納したものであるという。「八つ房」ともいうタイプもある。この園内には多くの梅があり、菅原神社もある。

道真は平安前期の公家、学者であった。宇多(うだ)、醍醐(だいご)天皇に信任されて右大臣にまでになるが、藤原時平(ふじわらのときひら)の中傷により失脚し、九州大宰府(だざいふ)に権師(ごんのそつ)として左遷される。醍醐天皇の廃位を謀ったという無実の罪きせられた道真は、延喜元年(901)2月、京都の自邸を去るとき「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花、あるじなしとて春な忘れそ」と詠んでいる。

またこの際、道真の傍に仕えていた、妻の続きの今村刑部師親(いまむらぎょうぶもろちか)に、伊勢の神宮祈願の印として、梅のタネ二個を託したという。この冤罪(えんざい)の晴れるのを祈願したものであった。当所のこの梅林は荒廃状態となるが、応安元年(1368)、この地に小庵を開いた裕善和尚が、境内に梅園を再建したという。