錦海岸の大ウバメガシ
ブナ科/ウバメガシ
通称“向井ヶ浜”の観光施設「遊パーク・トロピカルガーデン」の下で、海の近くには、平成4年に当時の紀勢町の天然記念物になった太い一本のウバメガシがある。その幹周囲は244cm、樹高は7m。枯れ枝も多いが、下部から出た枝は旺盛な生長をしている。平成13年刊行の『紀勢町史自然編』では、「向井のウバメガシ」として紹介されている。
この大ウバメガシの前には小さい鳥居があって、このウバメガシの木が神体として祭られる。鳥居の横には「海上安全」と「大漁満足」ののぼりが、対に立つ漁港のミニ社(やしろ)でもある。
この地は錦神社の古宮の跡地。この木のある地は、錦湾の砂浜であり、熊野灘に面しているので、大きな津波の被害を受けた。安政元年(1854)の安政東海地震の大津波にも、このウバメガシは耐え、大正4年(1915)までは、この地は神社として維持された。昭和19年(1944)の東南海地震と昭和21年の南海地震の大津波に遭った後には、このウバメガシが唯一残り、この幹の上部は折れて今は無い。古木だけに、伝説も伝わり、この木には白いヘビが棲み、この枝を切ると体がふるえて病気になると恐れられた。