常福寺のコウヨウザン

スギ科/コウヨウザン

常福寺は集落より高いところにある。そのため本堂とその庫裏前の間の庭にあるコウヨウザンの巨木は遠くからもよく目立つ。30年ほど前に、幹先と枝先を落とす大剪定を行ったが、今も巨木の容姿は保たれて見える。今、幹周囲398cm、樹高33mである。

コウヨウザンは生長が良い反面、幹は風で折れやすい。そのため、この寺のような剪定方法がコウヨウザンを維持するうえで、参考になるパターンかもしれない。

  『日本書紀』の天武元年(673)、「壬申の乱」に際し大海人皇子らが「伊賀の郡に到りて、伊賀駅家(うまや)を焚く。伊賀の中山に逮(いた)りて当国の郡司等数百の衆を率て帰りまつる。」と記述さ

れる。この「伊賀駅家」は、いまの古郡にあったと推定されている。それはこの地が、奈良時代の郡役所が所在地であったのに由来。この地にあった寺も歴史は古い。

常福寺は、養老6年(722)に聖武天皇勅願寺として、徳道上人が開創。大同2年(807)には願安大師により中興。天正伊賀乱のあとは、紀州根来より宥俊法印が来て、元和元年(1615)に復興している。常福寺は真言宗豊山派。