西念寺のカヤ
イチイ科/カヤ
西念寺のカヤは、山門を入った左側にあり、県内一の太さと思われる。幹周囲は640cm、樹高は16m。古い木だけあって、幹のあちこちに腐りも入る。
ほかに、本堂前には幹周囲228cmの大きなツガがあり、前庭には80cm上で幹周囲79cmの古いイヌガヤもある。
このカヤの樹齢は500年と推定されている。この地に、この寺が再建されたのは約200年前の、享和元年(1801)であるから、寺が再建された時、すでに、当時300年生のカヤノキがあって、その傍にこの寺が建ったことになる。
古くから、このカヤの大木は、よく知られた木であった。この巨木の近くには墓が多くあるせいか、「生命ながらえた末は、カヤの下で眠りたい」と地元で言われてきた。つまり、カヤノキの巨木の下は極楽浄土であった。
伊賀地方では、とくにカヤの大木が多い。カヤの実は、米の不作に備えた、救荒食糧でもあった。そのため、神社、寺院、庄屋の屋敷等にカヤが植えられた。この西念寺のカヤは、以前は実を多くつけた。近年、めっきり実の量が少なくなったが、この地を襲った昭和28年8月15日の山津波の影響で、樹勢が弱ったせいといわれる。