天照寺のアスナロ
ヒノキ科/アスナロ
天照寺本堂から裏の墓地への上り小道にはアスナロの並木道。私が昭和56年3月号の林業PR誌『三重の林業』で紹介したときは8本あったが、今は4本になった。今、最大のアスナロは幹周囲212cm、樹高15m。5年前に伐採された切り株の年輪235年を数えた。
この寺のご住職の話では、このアスナロは防風木として植えられたと推定している。この地方ではアスナロのことをシュウノキとかヒバと呼び、古くから屋敷に防風樹、防火樹、生垣用に植栽し、お祝いに使う生魚の下に敷く慣わしがあった。
ところがこのアスナロは、茂り過ぎると葉が多くなって暗くなるので、枝を落とすと枯死することがあり、いつの間にか、民家ではほとんど無くなってしまい、寺に生き残ったが、ここでも30年で半分になってしまった。
さて、この寺は南北朝時代には天正寺と称し、後醍醐天皇勅願所という七堂伽藍を備える名刹であった。その後、火災で廃寺になったが、復興して天照寺と改名した。