宝厳寺の紅梅
バラ科/ウメ
宝厳寺の本堂前広場で、庫裏玄関前には樹齢300年と地元でいわれる紅梅がある。その大きさは地上20cmの位置の幹周囲が202cm、樹高5.5m。濃い赤いウメの花をつける。
ウメは神社や寺で、菅原道真にかかる縁起のほか、高貴な庭園樹として、よく目立つところに植えられる。特に伊賀地方には古いウメが多いが、その中でも、この寺のウメは有数の古木と思う。今5本の支柱で、このウメの枝は支えられる。なお、この紅梅と対になって地際周囲155cmの立派なサザンカがある。
寺伝によると、文永4年(1267、)亀山天皇の勅により創建され、能作障の玉をここに蔵された。このことが寺名の宝厳寺の由来になったとされる。本尊の子安地蔵菩薩はたけが一寸八分(約5.5㎝)の秘仏。
古い時代、この寺は弘法大師の伊勢参宮時の宿坊であったといわれる。それ故、大師(空海)作のとされる仏像や仏画が多く残されている。往時は七堂伽藍を備えたの寺で、寺領も七百石、六子院を有する大寺であったが、天正の兵火で一部を除いて殆どが焼失。本堂横の観音堂は昭和34年(1959)に新築された。ここに安置の十一面観音立像は、平安前期の優作として国の重要文化財に指定されている。