長全寺のナギ
マキ科/ナギ
長全寺本堂前の石垣枠の上に県内一と思われるナギがあり、幹周囲349cm、樹高13m。幹の中は空洞になっているが、奇妙なことにこの空洞の幹の中に、もう一本ナギがありその幹周囲38cmで、更に上へ突き抜ける。地際は石の地蔵を抱え込む。幹の下部の樹皮は赤みが強い色をしている。成長は旺盛で葉はよく茂るためか、その重力で枝は下垂状になっている。
この木は、昭和41年に当時の紀和町の天然記念物になっている。この木の根元には「鎮守様」が祭られ、毎年7月15日に、人々は野菜を持ってお参りする。この鎮守様は、明治4年に京都の八坂神社から遷されたという。この地の人達は平家の末裔と信じており、このナギも、平重盛が熊野権現に献植したのと同じように、平重盛が植えたと語られる。
なお、慶長19年(1614)、の大阪冬の陣と呼応して起こった北山一揆で、長全寺は焼け落ちた。その時、本尊は黒こげになったが、いまこの本尊は体内仏として残る。近くの田平子峠には一揆殉難者供養之塔がある。