下市木のイブキ

ヒノキ科/イブキ

寛文年間(1661~1673 )の頃、当時の下市木村で庄屋をつとめた大久保宗悟(俗称 善兵)は造り酒屋であった。当時、彼はこの地区を開墾すべく、海からの潮水の侵入を防せぎ、灌漑用の水路をつけるなど、水田造成に功績があった人である。

この彼の屋敷にはイブキが植えてあった。この木は今、幹周囲563cm、樹高12mになり、「市木のイブキ」として県指定の天然記念物。平成元年には 「みえ新・名木十選」にも選ばれた。

なお、この庄屋の屋敷はその後、下市木小学校になり、更に近畿大学附属御浜幼稚園になり、今は空地。

イブキの葉には鱗状葉と針状葉の2型がある。鱗状葉は交互対性し菱状、針状葉は交互対生または3個輪生する。この変種のカイズカイブキは全部鱗状葉である。イブキの野性は現在ほとんど無いが、いま大紀町の奥地に数本の野生があるので、昔はこの付近でも野生していたと思われる。一方、イブキは盆栽ではシンパクといって、重宝されたので、乱獲された。