引作の大クス

クスノキ科/クスノキ

“引作の大クス”は幹の半分は高さ3mの石垣にかくれる。そのため、大きさの測定が調べるごとに異なり、今回の測定では幹周囲15m07cm 、樹高29.5m。

県内のクスノキの最大の太さはもちろん、全ての樹種の中でも太さが最大の木である。昭和11年には県指定の天然記念物に、平成元年には新日本名木百選に選ばれた。30年ほど前迄は、「阿田和の大楠」といわれていた。

  昭和54年12月、私は「引作の大楠」の現地で、この楠守の宮本久雄さんに次のようなことを聞いた。「この楠は1500年生。かつての引作神社な「明治の神社合祀令」で阿田和神社に合祀されることにった。神社にあった直径2m程の太いスギを全部伐られることになった。この大杉の切り株の年輪を父が数えると997年まで数えられたが、中心はウトになって、500年はあると思われた。

 この杉を伐った人は祟りか、2年後に亡くなったので、今はこの楠の枝を払うことも嫌う。この楠も伐られる運命にあったが、南方熊楠先生が保存に尽力された。この楠には昔、オオタニワタリが着いていたが今は無い。オオタニワタリが着いていると、雷が落ちないといわれた。」