宝林寺のコウヨウザ

スギ科/コウヨウザン

コウヨウザンは中国南部、台湾、インドシナが原産で、わが国へは江戸時代後期に渡来したとされる。昭和63年に当時の環境庁が行った「巨樹・巨木林調査」により、およそ100樹種の日本一の樹木が明らかになった。

それによると、三重県には全国一の樹木が一つあった。それはこの宝林寺のコウヨウザンで、本堂・庫裏前にあり、この木は今、幹周囲449cm、樹高37m。太い枝が弓なりに下がる。この木の下の庭園にはツバキが収集植栽され約50種180本があり、クロツバキは30年生だという。

 このコウヨウザンの巨木は『北勢町風土記』によると、元禄年間(1688~ 1703)に、檀家の片山幸右衛門という人が霊木として寺に寄進したとある。この記述は渡来の江戸時代後期にはあわないが、いずれにせよ日本一だから、渡来した最初の木に近いものと思う。

この木の下には、この子供苗の独り生えがよくできる。これを造林した人がいて、付近の山には太い木がある。また、大正5年には明治神宮造成にあわせ、当時の十社村名義で2本献木されている。