神宮勾玉池のハナノキ

カエデ科/ハナノキ

ハナノキは昭和2年5月、岐阜県付知町(当時)の崇敬家牧野彦太郎さんが、木曾川流域に生えていたものを献納。当初は3本あったが今に残ったのは一本で、雄の木。今の大きさは幹周囲288cm、樹高22m。勾玉池(まがたまいけ)周辺にあり、地際の根の一部が異様に盛り上がる。

ハナノキはカエデの仲間。葉に先立って美しい真っ赤な花を多くつける。特に雄の木の花が美しく、むかし、この雄の木を眺めていた人が、花は咲くが、実がならないのでハナノキと呼んだという。

ハナノキの分布は、岐阜・愛知・長野三県の接点付近のみに限られ、北アメリカ産のアメリカハナノキと同様、“第三紀植物”の遺存種といわれる。勾玉池のハナノキは池の縁に育ち、秋の紅葉した落ち葉が水面を赤く染めるのも、また美しい。

また、この近くにはヒトツバタゴもある。昭和5年、同じ牧野彦太郎さんが献木。5月後半に真っ白い花が咲き、甘い香りをふりまいて咲き、珍木ナンジャモンジャの木として毎年新聞に紹介される。