西村広休植物園跡のフウ

マンサク科/フウ

西村廣休(ひろよし)植物園跡は多気町平成6年8月1日多気町指定の史跡。ここには昭和12年11月18日三重県指定天然記念物のフウがあり、この木は幹周囲319cm、樹高19m。また、多気郡農協相可支所前にあるタラヨウは平成6年8月1日多気町指定天然記念物。

西村廣休(1816~89)は江戸時代の豪商相可大和屋の11代当主。江戸時代後期、全国に名を知れた本草学者でもあった。

彼は邸内に植物園を2ヶ所つくり、珍しい植物を2000種集めて栽培して研究した。大和屋はこの相可に本宅を構え初瀬街道に面し、その面積は2600坪もあった。江戸本石町四丁目に出店を置き、呉服屋、紙問屋、為替方を営んだ。なかでも大和屋の為替方の営業は紀州、藤堂、会津、桑名などの大名、諸侯の金を貸す、いわゆる大名貸しをおこない、莫大な御用金を調達していた。

この金額は江戸末期で7万5千両を超えたといわれる。その上明治新政府にも御用基金を上納。しかし、藩制の崩壊、明治維新の大変動で、貸し付けた御用金のほとんどが回収できず、倒産に見舞われた。この悲劇は明治20年から30年に起こった。