金剛座寺のホルトノキ

ホルトノキ科/ホルトノキ

金剛座寺は山腹にあって、そこを平地にならして、本堂や庫裏が山側にあり、ならした先の盛土の天端位置には、この付近にはない2本のホルトノキがある。太い方は寺の客殿の南側で崖の上にあり、幹周囲379cm、樹高13.5m。境内のこのような天端位置には地主桜、ナギ、ツゲ、ホルトノキ、ニッコウヒバ、イチョウ、ツバキの品種“玉の浦”などがある。したがってホルトノキは植栽されたものと思われる。

この寺の住職による『金剛座寺略縁起』解読によると、ホルトノキはポルトガルノキとして、ほかにスパイスのサンバチョウジ等の記述があり、また、この寺の本堂は、近くの相可の西村家の寄進でつくられているので、当主の本草学者でもあった西村広休が寄進したとのではないか思われる。

金剛座寺の古い寺名は穴師(子)寺。開山は、白鳳2年(680)に藤原鎌足説と、白鳳9年藤原不等説があるほど古い歴史がある。当寺は平安時代末に活躍した歌人・西行法師が訪れたという伝説があり、法師の祖先の藤原家に縁のあるこの寺に植えられてあった桜を詠んだという歌「昔より菩提の樹(うえき)それながら 出(いで)し佛の影(けい)ぞ残れる」が、この寺の御詠歌になっている。