雲林寺のニッケイ

クスノキ科/ニッケイ

雲林寺のニッケイは庫裏前広場先の斜面にあり、幹周囲243cm、樹高14m。葉はよく茂っている。

ニッケイは、中国南部等が原産で日本には享保年間(1711-1736)に渡来。幹皮や根皮などから本来は生薬料を生産したが、一般には特有の芳香がある駄菓子として栽培された。最近はこの特有の芳香がアロマテラピー(芳香療法)として話題になっている。

三重県では「にっきの木」と呼ばれることが多く、寺、神社や旧家に植えられていることが多い。この寺の境内には、他に注目すべき木として幹周囲179cmのギンモクセイと幹周囲222cmのゴヨウマツの古い木がある。  雲林寺は、かつての森村に統合される前の犬飼村にあった。明治2年(1869)には家数25戸、人口145人に過ぎなかった。最近、蓮(はちす)ダムによる水没の移住で戸数が増えた所である。この地には、天正5年(1577)に北畠具親(きたばたけとものり)の挙兵の際築かれた「森城」があった。この地が「森ノ郷」とよばれたのに因むが、その後の「森村」の呼称はここが発祥かもしれない。