香良洲公園のクロマツ

マツ科/クロマツ

三角州地帯の香良洲町の海岸には香良洲公園があり、ここは県内一とされるクロマツ純林。最大と思われるクロマツは幹周囲354cm、樹高17.5mの大きさ。ここは防風林、防砂林で、夏は海水浴の場。明治40年の「三重県案内」でも「風光絶好にして明石にゆずらず伊勢湾風景第一の地」と紹介された。戦時中は近くに「三重海軍航空隊」があった。

古い伝説もある。大同2年(807)東北に向かう途中の征夷大将軍・大伴弟麻呂(おおとものおとまろ)は、戦勝を祈願して神宮に参拝するが、台風で一時香良洲浦に避難。この時、地元の香良媛が舞楽でもてなした。将軍はかぶら矢を立てて再会を約束して出発したが、矢を立てたところが、野原だったので、香良洲町の前の旧村名の矢野村になったという。更に将軍が馬をつないだマツがあり、これを「駒繫(こまつなぎ)松」といって海岸にあった。

しかし、この古松は宝永4年(1707)の富士山の噴火にともなう地震津波で根が洗われ、寛延4年(1751ころ枯死したという。その後、里人は復活すべく「大伴弟麻呂駒繫松」を指定している。