三木里海岸のクロマツ

マツ科/クロマツ

三木里海岸にはクロマツ林があり、この中には古い木も混じる。かつて、この地は紀州藩に属したため、紀州5代藩主徳川吉宗が、海岸の防風・防潮林として、正徳2年(1712)に植えさせたと伝えられる。

昭和48年には「三木里海岸の松原」として尾鷲市指定天然記念物になる。最大の太さと思われるクロマツは幹周囲460cm、樹高4m付近から折れて主幹は無く、枝が横に広がってのびるが、この高さは14m。

平成5年、この「三木里海岸のクロマツ」は全国育樹祭記念誌『郷土の樹木、三重県の樹木誌』で紹介された。この執筆者の元三重大学の武田明正先生は、松枯れで伐採した切り株の年齢を調べ、約270年を数えたので、このマツが正徳年間に植えられたことが実証されたと記している。今、この松原のある海岸は海水浴場として整備されている。 

なお、徳川吉宗は江戸幕府8代将軍であるが、紀州藩2代藩主・徳川光貞の4男で、宝永2年(1705)22歳で、紀州藩第5代藩主に就任し、その後享保元年(1716)に8代将軍になっている。