中山寺のモッコク

ツバキ科/モッコク

モッコクは「庭木の王様」といわれるほど、昔からよく用いられ、庭の目立つ所に植えられる。ところが、この中山寺(ちゅうざんじ)では、庫裏と本堂を結ぶ廊下の傍で、この建物のなぜか裏側にあって、寺に参拝した人には気がつかない位置に育つ。その幹周囲は366cm、樹高は12mで、地上1.5m付近から4幹立ちの木。

中山寺は法難にあって炎上後再建されるが、明応9年(1500)以前のこととされる。この再建の時に、モッコクは植えられたとされるので、樹齢500年を超える。

 私の調査では、この中山寺のモッコクを除いて、県内のモッコクは、植栽木と野生を含めて幹周囲210cm以下であった。また、全国の天然記念物のモッコクは幹周囲250cm以下であって、この中山寺のモッコクは全国最大ではないかと思われる。

なお、中山寺は寛正2年(1461)、真慧上人(しんねしょうにん)創建という由緒ある寺。真宗田本山専修寺が栃木県二宮町(現)から、今の津市一身田町に移る数年間、この中山寺が布教の拠点だった。