佐那神社の手力の大ヒノキ

ヒノキ科/ヒノキ

佐那神社本殿前に幹周囲353cm、樹高24.5mの「手力の大桧」というヒノキの大木がある。地際はゴロタ石が敷き詰められ小さな鳥居があり、賽銭が上がる。佐那神社の主祭神は「天手力男命(あめのたぢからおのみこと)」である。この神は天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩屋に隠れた時、戸を開いて大神を連れ出す役目で活躍した力の神。そのため、手の力すなわち腕力の象徴、つまり人間の筋力に宿る霊を神格化した神とされる。「手力の大桧」はこの神になぞらえた木と思う。

ヒノキは昔から日本の木の文化を支えた材で、『日本書紀の中では、「スギとクスノキは船に、ヒノキは宮殿に、マキ(槙)は棺にせよ」とある。ヒノキが宮殿建築用として使われて、最適最高の材であり、本殿前にあるこの手力の大桧の意義は大きい。

佐那神社境内林奥にはスギ神木があり、幹周囲957センチ。地上1.5メートルで、2本立ちになっている。またイチイガシが11本もある。イチイガシの育つ森には、共通的に地表にツルコウジとアリドオシが多いが、この森でもツルコウジとアリドオシが多い。