加波神社跡のモチノキ

モチノキ科/モチノキ

加波神社跡には唯一モチノキだけが残っている。幹周囲は412cm、樹高は14m。樹幹はモチノキとは信じられないほどコブ状のふくらみが多い。高さ5m付近で幹は二又で、古木のわりには葉は多い。県内最大のモチノキと思われる。幹の膨れるその隙間から、なぜかオモトが生える。旧社の小祠の裏側にこのモチノキはあり、斜面上部はスギ林。地表はシャガが多い。

加波神社とはこの地の地名から通称いわれるもので、本来は「作神社」「八雲神社」と思う。この加波神社はおそらく明治末年の合祀で、廃社になったところと思う。今、小さな祠はあるが、古い木で幹にこぶがある当時でも名木のモチノキ1本だけを、記念に残したものと思う。

地元の加波の伝説には、兄の源頼朝に追われた弟の蒲冠者(がまのかんじゃ)といわれた源範頼(みやもとののりより)を住まわせた、「二階平」という屋敷跡が川向かいにある。この加波の地には櫛田川の上流の波瀬川に沿って、かつての和歌山街道が通り、今は国道166号。また、この地には昭和51年までは小学校もあった。