大内山・八柱神社のミズメ
カバノキ科/ミズメ
かつて、紀州藩主がこの地で「牟婁越えて鶯きくや梅ヶ谷」と詠んだが、JRの駅名も「梅ヶ谷」。このJR梅ヶ谷駅に隣接して八柱(やはしら)神社がある。周囲を大内山川が流れる。八柱神社本殿神域は柵の中にあり、向かって左側には境内林の間の空地がある。
ここに幹周囲186cm、樹高26.5mのミズメがある。この空間地には幹周囲88cmのコウヤマキもあるので、ともに植栽されたものと思う。三重県内の神社にミズメが植栽されるのはきわめて稀なことである。この木の植栽の動機について、神社に梓弓(あずさゆみ)にちなんで植えたとか、サクラの苗と間違えて植えられたともいわれる。
ミズメはアズサとかヨグソミネバリともいわれる。カバノキ科の落葉高木。多分この地方のやや奥地の山地に自生していたものと思う。樹皮はサロメチールの匂いがし、材は堅く、器具・家具材とし、古くは弓や板木に利用された。
さて、八柱神社は桓武天皇延歴14年(795) が創立という説もあるが、創立の棟札は文安5年(1448)。古くは二天八王子社と呼ばれたが、明治4年の“諸神社御調”の時、他の7社を合祀して、八柱神社として登録された。祭神のなかに、地元で神のように敬われた領主の大内山但馬守もある。