大皇神社のスギ

スギ科/スギ

参道石段を上がった右側にはしめ縄をつけた神木の大スギがあり、脇に小さな祠がある。この木の大きさは幹周囲663cm、樹高35.5m。太い枝を出し、その枝はなぜか南向きに全て曲がって伸びる。

かつて、県主催の大内山川流域の巨木見学バスツアーで、参加者のアンケートで最も印象に残った木に選ばれた。特にこの木の曲がった太い枝に迫力を感じたのだろう。また本殿を囲むようにスギ巨木群があり、一部は神木である。15年ほど前に、先が枯れてきた幹周囲450cmのスギを伐採したが、年輪を数えると樹齢400年だったと聞いた。

神社の下には、かつての熊野街道が通る。神社は鎌倉時代の1220年頃の創建といわれる。神社本殿には菊の紋章が着く。これは文徳天皇の第一皇子・惟喬(これたか)親王が祭られているため。惟喬親王ご座石もある。惟喬親王は時の摂政藤原良房(よしふさ)の孫・惟仁親王(清和天皇)との皇位争いに敗れ、今の滋賀県小椋谷に隠棲した。

そこで人々に「ろくろ」を使って、木の椀や盆をつくる技術を教えたといわれる。この職人を木地師(木地屋)とよばれ、小倉や小椋姓の人が多い。江戸時代、この地は伊勢木地師の中心で、この神社の近くには小倉姓を主に木地師集落もある。