尾鷲神社の大クス

クスノキ科/クスノキ

尾鷲神社前に昭和12年に県指定天然記念物になった2本の「尾鷲神社の大クス」があり、太い方は幹周囲 930cm、樹高27m。一部道にはみだして保存。この2本の大木は5mほどの間隔で立ち、枝はお互いに重なりあって一つの樹幹のように見える。本殿裏側のも数本の太いクスノキがある。この地方では昔、クスノキはサカキと同じ様に玉串に使用したので大切にされてきた。

寛永13年(1636)、紀州藩は山林を保護するため、『奥熊野山林御定書』を公布して、クスノキ、カシワ、ケヤキは伐採禁止、スギ、ヒノキ、マツの大木は留木(許可があれば伐採できる木)とした。同時に大木の現地調査も行っているが、当時すでに尾鷲神社のクスノキは、最大のもので幹周囲 570cmの木があった。また、大正2年刊の「大日本老樹名木誌」には幹周囲 840cmとある。

この木は災害にもよく耐えた。宝永 4年(1707)には大津波に遭い、付近は壊滅的被害を受けた。昭和41年には、腐朽してできた幹の中の空洞に火が入り、三日間も燃え続けた。平成2年の台風19号では、スギの大木がこのクスノキの上に倒れ、多くの枝が折れた。 また、最近は道路の拡張にも耐えている。