引作のシマクロキ
ミカン科/シマクロキ
古い昔の正月、弘法大師が乞食姿で引作に現れたが、この地の誰一人餅をあげなかったと言う伝説がある。このことがあって以来、引作では正月用の餅つきを遠慮して、1月13日まで餅をつかないと言う話を、隣に育つ「引作の大楠」の楠守の宮本久雄さんに聞いた。この地区の氏神の旧引作神社にはクスノキの他にハマセンダンの大木も残っている。
このハマセンダンは幹周囲388cm、樹高22.5mあり、県内最大のハマセンダンと思われる。三重県の北限は尾鷲市曽根の飛鳥神社とされる。戦前の文献には県内での分布に記載されていない。御浜町の神志山小学校の裏山には町指定の天然記念物がある。なお、全国の分布は本州では三重県、広島県、山口県と四国、九州、琉球で、台湾、中国にも分布する。
海岸近くに生え樹皮が灰黒色のため別名をシマクロキとも言う。この引作では単にセンダンと言っていた。海岸に生育するだけあって、この樹は耐風性があるに違いないと思う。この引作のハマセンダンも地際は盛り上がって板根状になり、幹は如何にも強風に耐えるように見える。