東平寺のシイ
ブナ科/シイ
寺境内と墓地のあいだに列状にスダジイと思われる古い木が約7mピッチで6本ある。これらの木は昭和53年に「東平寺のシイノキ樹叢」として県の天然記念物になっている。
最も太い木は南側の木で、斜面の下部の木。大きさは幹周囲485cm、樹高15m。この木は古い時代に谷側に倒れたが、多くの根に支えられて倒壊がまぬがれ、そのまま根が露出して生長してきた。また、根元には古い道祖神らしい石仏が祭られている。
なぜか、この木の下には立派な五輪塔が数基あるが、これは北畠の家臣の墓と教えてもらった。そういえばこの近くには、南北朝時代から戦国時代にかけて伊勢国で大きな勢力を持った国司・北畠氏の本拠地がある。北畠居館跡(現北畠神社)・霧山城跡がその痕跡として残っている。その城下町は「小京都」とも言われ、伊勢の山間地に文化の華を咲かせたところであった。