柳原観音のモミ

マツ科/モミ

柳原(やないばら)観音は「柳原手引観音・千福寺」という真言宗の寺。かつて、巡礼者達が旅先の安全を祈願したお寺という。また境内から眺望すると、下を流れる宮川の流れは美しく、旅する人々や近在の人々に親しまれてきた。

ちなみに本堂の十一面観音像は聖徳太子の作と伝えられるご本尊である。毎年2月と8月の大祭には火渡りの行事が行なわれる。寺の別名に手引観音と呼ばれるのは、花山法皇のご詠歌「あらとうと手引き賜える観世音貴きいやしき人をえらばず」と詠まれたのに由来する。

境内には幹周囲324cm、樹高20.5mの太いモミがある。昔、落雷の被害に遭い、今は幹の途中から3本の幹になる。神社や寺院のモミは、臣(オミ)と読みかえて、その施設の守り役の木とされる。この木は建物の裏側にあるので、その由緒で植えられたものでないと思われる。

しかし、古い昔は寺に隣接してこの木の近くに神社があったので、やはり、このモミは臣(オミ)であったかも知れない。この木は南側を流れる、宮川を見下ろして育つ。この寺の庭園には、なぜか古いシキミが5本もある。