棚橋竈・長泉寺のナギ

マキ科/ナギ

長泉寺本堂前広場西側には幹周囲300cm、樹高16mのナギがあり、地際は根の盛り上がった異様な様相をしている。本堂東前石垣の外には幹周囲506cmと319cmの雌雄のイチョウが目立つ。

温渓山長泉寺は禅宗曹洞宗の寺。永正6年(1508)、平維盛三世の末裔にあたる察道和尚がこの地に小さな寺を建立したのが開基とされる。ナギは平家ゆかりの木で、この寺でも目立つところに植栽されたと思われる。

この南伊勢町にある竃のつく「竃方集落」は八竃あって平家流寓(りゅうぐう)の地。平家が壇の浦の戦に敗れて、一門はほとんど海に消えた。

平維盛の子岸上幸弘はひそかに逃れて、新宮の奥の河合村に身を隠した。幸弘より3代後の子孫は、この南島の海岸に住み着いたが、漁業権は無いので、山で薪をきり、塩を焼いた。国司北畠氏からも能見坂より南10里の地を保障された。この棚橋竃地区でもザサ山には崩壊した竃跡が見つかっている。