演暢寺のイヌマキ

マキ科/イヌマキ

演暢寺は、かつて円長(えんちょう)寺といったが、文化8年(1811)に改称して今の名になっている。

本堂前広場で、山門を入った左側の鐘楼そばには、幹周囲439cm、樹高13.5mのイヌマキの巨木がある。古いイヌマキは大きい葉のタイプが多いが、この寺の木は、葉は小さいタイプで、ラカンマキに近い高級品種だったかも知れない。昔、高さ4m付近で、一度剪定されたか、多幹になっている。古い木だけあって幹に皺が多い。

三重県内のイヌマキの大木は、私の調査では「御浜町神木西地の狩掛神社跡」、「松阪市魚見の魚見墓地」についで、県内三位の太さ。この寺は文政11年(1828)に火災にあって全焼。天保3年(1832)に再建されている。再建されて今年で175年経ったが、再建のときに樹齢25年の木を植えたとすれば、樹齢は200年になる。

イヌマキは古い時代から、庭木や生け垣として最もよく植栽されてきた。これは病虫害に強く、土壌環境を選ばず、特に風害につよく、成長が遅いので剪定などの管理が少ない特長があるためと思われる。