白子子安観音のトトロの木
クスノキ科/タブノキ
白子子安観音境内の中には第一さくら幼稚園がある。この幼稚園事務室と保育室の間の隙間には、幹が中空になった太いタブノキがある。幹周囲541cm、樹高11.5m、高さ2mのところで2幹になっている。このタブノキの幹は地際が太く、大きな穴が開いているので、この幼稚園の子供達はこの様を「もののけ」として「トトロの木」と呼ぶようになった。
1988年に公開された宮崎駿監督のアニメ映画『となりのトトロ』に起因する。かつて、寺の一部の敷地は太い木のある藪であった。そこに住職は幼稚園の建物を配置したが、多くの藪の木は残す配慮がなされた。そのためこの「トトロの木」は残された。他にも建物の隙間には幹直径40cm前後のムクノキが5本も残っている。
寺の縁起では、鼓ヶ浦の海中より鼓の音が聞こえたので、網を入れたところ、鼓にのって白衣の観音が現れ、この観音を堂に安置したとある。この白衣観音の信仰は平安末期に始まったという。安産、子育て、子授けに霊験ありとして、全国各地から参拝客が訪れる。境内の不断桜は国指定天然記念物。仁王門は県指定文化財である。また、この寺家一帯は伊勢型紙の生産地。この寺院の木の葉の虫食いから型紙が思いついたといわれる。