石川・石神社のカゴノキ

クスノキ科/カゴノキ

およそ南向きの石神社本殿の東側斜面には、幹周囲337cm、樹高19mの太いカゴノキがある。カゴノキは「鹿の子の樹」の意味で、この樹皮が円い薄片となって点々とはげ落ちて、そのあとが淡黄白色の鹿の子模様になるので、この名がある。

そのためカゴノキは鹿を意味し、特に春日信仰や鹿島信仰では鹿が登場し、それにちなんでカゴノキが植えられることが多い。

この神社のカゴノキは本殿に近いところに育つ。そのためこの神社でも、古い昔、樹皮の美しいカゴノキを、神の使いの樹として植栽されたのではなかろうか。ちなみにこの神社は、藤原町史によると、創立は仁和2年(886)で、品陀和気命(ほんだわけのみこと・応神天皇)を主祭神とし、延喜式内社で、員弁十社の一つという由緒ある神社。

この神社には古い木が多い。いずれもその大きさを幹周囲であらわして、ムクノキが280cm、タブノキが265cm、ケヤキが392cm、カヤが332cm、イチョウが341cm。とくに注目されるのは本殿前に太いケヤキが対になって植栽されている。