蘭宇気白神社のモミ

マツ科/モミ

「アララギさん」と地元で、信仰される蘭(あららぎ)神社は、正式には蘭宇気白(あららぎうけはく)神社。蘭、宇気比(うけひ)、白山の3社が、明治末年の神社の合祀でできた社名。
かつてのこの地は、北畠氏築城の多気御所へ続く街道の入口にあたり、柚原(ゆのはら)の地名も、北畠家臣の湯原(ゆのはら)半九郎に由来するという。

蘭川沿いには蘭神社の森があり、およそ直径1m以上のスギは20本ほどあって、この神社の森はスギの森。スギに混じって2本の太いモミがある。最大のモミは本殿正面の石段上り口で、川の傍にあり、幹周囲463cm、樹高41.5m。多分、県内最大のモミと思われる。

モミは大気汚染に弱い木とされる。それに材もそれほど優れていないので造林されることも無く、モミは減少の一途をたどる。しかし、数少ない天然林と、神社仏閣の境内林には時々残っている。

私は現地見学会で神社仏閣の目立つところにモミがあると、モミは臣(おみ)を意味し、「けらい」のことで、その神社や寺の守り神であろうと説明している。