近長谷寺のボダイジュ

シナノキ科/ボダイジュ

近長谷寺本堂前に幹周囲101cm、樹高7.5mの仏教伝来にちなむ木のボダイジュがある。太さはないが、この木の地際の広がりは170Χ140cmもあるので、県内有数の古い木と思われる。。

奈良県桜井市にある真言宗豊山派の総本山長谷寺は長谷詣といわれ、『源氏物語』や『枕草子』にも記される古い歴史がある寺。この長谷寺観音への信仰は、平安時代以降は特に盛んになり、鎌倉時代にはいると、長谷寺本尊像を摸して、長谷寺式と呼ばれる十一面観音像が各地で造られた。

この多気町長谷の近長谷寺も、この長谷寺信仰から創建され、高さ6メートル余りの巨大な長谷寺式「十一面観音立像」が安置されている。もちろんこの像は大正2年国指定重要文化財。

なお、この近長谷寺の開創は仁和元年(885)。現在の本堂は、元禄3年(1694)に再建されたもの。伊勢の皇大神宮に近いということで、近の一字を加え、「近長谷寺」といれる。近長谷寺の十一面観音像は日本三大長谷観音の一つとされる大きな像。この寺を、地域の人は親しみを込めて「近長さん」と呼ぶ。この長谷地区では「御田植祭り」が行われるが、十一面観音にちなんで、半径11メートルの車田がある。