長楽寺のモミ

マツ科/モミ

三重県の最北端で、員弁川の源流に位置し、しかも人里離れた山中に長楽寺はある。本堂前の石段を登りつめた左脇には幹周囲437cm、樹高35mの太いモミがある。

古くは山門代わりとして右にも同じモミがあって、対になっていた。右側のモミは約30年前に枯れて、今は代わりにコウヤマキがある。この地に寺が開山した宝暦2年(1752)に植えられたという。このモミの枝にはヤドリギのマツグミが着く。

本堂の屋根は波型トタンであるので、本来は茅葺と思う。また境内には観音堂があり、本尊は秘仏馬頭観世音菩薩。養老6年(722)、泰澄大師(たいちょうだいし)が養老の滝においでになった時、七色の虹の先にカヤの古木があった。

この木は虫食いの木ではあったが、幹には仏の顔が浮かびあがっていたので、大師は大変感激して、その木で馬頭観世音菩薩を刻んだという。この菩薩の収まる観音堂からは、山門代わりのモミの巨木は、空に浮かびあがるように見える。