長瀬のヒダリマキガヤ

イチイ科/カヤ

名張市長瀬の県指定天然記念物「長瀬のヒダリマキガヤ」は昭和11年(1936)に指定された。水路の上側の法面に太いカヤが3本あり、所有者の大矢家の話では全てヒダリマキガヤだという。

最大の木は地上50cmの幹周囲が314cm。いずれも地際から二又状に傾いてのび、枝先は地際の位置より更に低く5mも下に伸びる。ヒダリマキガヤは実が大型で3cm以上あり、殻の表面には左巻きまたは右巻きの溝がある。

この近くの奈良県曽爾村葛(かずら)にも奈良県天然記念物指定「ヒダリマキガヤ群生地」があり、ここでは今12本も群生。また、この近くでも数カ所生育するので、古くは大きな実を目的に栽培が普及したものと思う。

この「長瀬のヒダリマキガヤ」は、当初、地元の長瀬小学校の森川誠之先生が発見。その弟で樺太敷香野大学の森川均一助教授が、昭和3年9月の『植物学雑誌№503』で発表したもの。

また、同時にコツブガヤもこの地にあって発表され、この木は植物学上同種の基準となる木であったが、昭和34年の大風で折れた。しかし、タネで子供苗ができ、このヒダリマキガヤの西側に直径約15cmのカヤに生長、この木は「長瀬のコツブガヤ」として平成17年名張市指定天然記念物。  

かつて、この家にはコツブガヤもあり、この子供苗も近くに育つ。